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ヒトラーの贋札

完璧な贋札。
それは俺たちの命を救うのか。
それとも奪うのか―

2008年のアカデミー外国映画賞を受賞した秀作です。
ナチスが国家を挙げて行った史上最大の紙幣贋造事件という史実を元に、収容所でその任務を強制されたユダヤ人たちの物語。
スリルというとそごく語弊のある表現ですが、終始観ている方まで緊張しっぱなし。どきどきしながら祈るように観ていました。
ザクセンハウゼン強制収容所に送られてきた凄腕贋作師サリー、印刷技師ブルガー、歳若いコーリャ等技術を持った収容者達は、内部の秘密工場でナチからポンドの贋札を作るよう命じられる。
ポンドの大量贋造により、敵国イギリスの経済に大打撃を与えようという『ベルンハイト作戦』。
敗戦が色濃くなってきた中での、荒唐無稽ともいえるナチスの苦肉の策・・・。
サリー達はもちろんナチスに力を貸すような裏切りはしたくないけど、命令に逆らえば自分達はもちろん、同じように収容されている家族の身も危険にさらすことになってしまう。
なんとかぐずぐずと引き伸ばすように作業に当たるものの、ナチの将校からは「期日までに完成させないと見せしめに5人を銃殺刑にする」と宣告されてしまい・・・。

男達の文字通り「命を懸けたぎりぎりの戦い」に対する葛藤、正義感、倫理観、家族愛などいろんな感情が濃密で細やかに描かれていました。
主人公のサリーはかなり偏屈で自分しか信じないような性格だったのが、他の収容者たちと接する内にだんだんと人間らしい心を取り戻していく様子に心を打たれました。
手に技術を持った彼らは、同じ収容者の中でも「破格の特別扱い」されていた人達とも言えるかもしれませんが、危険と隣り合わせには違いなく、この事件を通して収容されたユダヤ人のありのままの姿を観たような気がします。
石鹸や水を使ったり、ベッドも他の棟よりも良く、音楽まで聴ける。
罪悪感からか、他の棟から漏れ聞こえる悲痛な音をシャットアウトする為、窓を閉め切ってしまうシーンもありました。
同じ作戦に手を貸すユダヤ人の中にも、考え方の違う人はやっぱりいて、それがまたぶつかり合いの種になる。
それぞれが信念や誇りを持っていて、どちらが正しいとか間違っているとは言えません。
どの人物も善人と悪人というタイプには描かれていないから、真実味というか人間味があってぐっとくる。
ナチスの手によって人生を理不尽に終わらされた数多のユダヤ人・・・。
「今日の銃殺より明日のガス室のほうがいい」というセリフにはずしんとくる重みがあります。
古紙の中に紛れ込んでいたパスポート・・・仲間のユダヤ人の家族のもので、それはもうこの世にはいないという証。
結核になったコーリャを何とか救おうとサリーは取引しようとするが、結局病気がバレて銃殺されてしまうエピソード。
乾いた感じに撮っているのが、余計に心に訴えてきました。

生と死の狭間で悩み苦しみ、それでも生きたい、生きて家族に再び会いたいと強く願い、運命にこんなふうに立ち向かおうとする人達もいたんだな~。
日本の戦争に行かれた方のお話では、「生き残って仲間に申し訳ない、恥ずかしい」という言葉も聴いたことがあります。
戦争に行ったわけではないけれど、不条理な戦いに容赦なく巻き込まれ、苦しみをともにした同胞たちに、いろいろな思いがあったはず。

思ったよりすんなり物語に入り込めたし、重苦しい雰囲気もありませんでした。
だからこそ、「自分だったらどうする? どうしたい?」と色々考えさせられるシーンが多かった。
作戦に協力することで自分の命は今日は助かる。でも壁の向こう、塀の向こうでは同胞達がどんどん殺されていく。
ひどい食事、将校による日常茶飯事の暴力。
ラストの方でナチがすっかりいなくなり、戦争が終わったことを悟る場面が印象的でした。
収容者たちも知らなかった建物の多さ。
それは同時に、すっかり生きる気力をなくした亡霊のような同胞たちの多さ・・・。
冒頭とラストで描かれる、終戦直後のモンテカルロのカジノで大量の札束を出すサリーがいますが、あれは自分達が仲間とともに作った贋札なのかもしれません。
そのお札も、タンゴの音楽も、死ななければならなかった仲間や多くの同胞へのレクイエムだったのかな・・・。
歴史サスペンスとしても、ヒューマンドラマとしてもとてもクオリティの高い作品です。



公式サイト
http://www.nise-satsu.com/




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